男の娘達との青春アドベンチャーゲーム!
 同級生でクラスメートの涼香 こよみ、
  上級生で生徒会長の姫之宮 香(かおる)、
   下級生で運動部員の柏 祐希(ゆうき)。

恋あり波乱ありの、男の娘学園にようこそ!

 人は誰しも言う、「人生とは何か」と。
 人生が何かだって? そんなの分かるもんか。
 死んだ爺さんが言ってたよ。「人生色々だ」って。ま、誰かの受け売りだろうけどさ。
 でも確かにそう思う。10人いれば10通りの人生があり、百人いれば百通りの人生がある……当たり前だ。

 それに俺はまだ親の保護下にある勤労学生。
 人生が何か、なんてことより、まずは『今』だろう?
 今のこの時を感じながら生きなきゃ。言ってみれば、これが青春てヤツかな。
 そうだな……先人たちの戯言(たわごと)を聞くのもいいけど、 今は俺の『今』の時間を無駄にしないように生きること、これだろ?

 ミーーン、ミーーン、ミーン
 蝉が鳴いている……。
 まだ夏には少し早いから、あれは春蝉(ハルゼミ)ってやつかな?
 ゼミっていえば夏休みの夏期講習はどうしよう……?
 お袋に探しとけって言われてたっけ。ま、いいか……。今は1日も早く新しい学校に慣れなければ。
 俺は新しい制服を着て、転校先の学校へと向かっている。当然ながら、見知った顔は1人もいない。

【澤北義和】
(子供の頃、この町に住んでいたんだけどな……ま、十年一昔って言うからな。景色も随分と変わっているし、住んでいた人間も変わってしまったことだろう)

 通りを同じデザインの制服を着た男女が同方向へ向って歩いている。
 男子はブレザーにスラックス、女子も上はブレザーで下はスカート。

【主人公】
「ん? 何だ? あの娘だけ、スカートの色が違うな」

 タータンチェックのプリーツスカートで色違いの娘が1人で歩いている。

【主人公】
(どうして、あの娘だけ色が違うんだろう……?)

 その娘の後姿を追うように歩いていたら、1人の女の子が駆け寄って肩を叩いた。

【女子】
「おはよっ。今日は早いじゃん」

【女子】
「あ? うん。日直だからね」

【女子】
「あは、偶然! 私もだよ」

 2人の他愛の無い会話が聞こえてくる。
 よく見れば、肩を叩いた娘も同じ色のスカートだ。

【主人公】
(日直とか、当番とかの関係あるのかな……)

 それ以上、特に気にも留めず俺は学校へ向かう。

【主人公】
「ここか……」

 校門の前に立ち、『私立天ヶ原学園』という文字を目で追う。
 自宅から徒歩で15分程の場所に学園はあった。でも俺が子供の頃は無かったと思う。

【主人公】
(私立だし、この数年の内に出来たのかも)

 両親と俺の家族三人で久しぶりに生まれた町に戻ってきたというのに、見覚えの無い建物、景色が続く。

 そうして、俺の学園生活が始まる――